Santa Claus is coming to town. TOP / 詩小説TOP / sensitive-garden HOME
 
 

 
 

1. サンタクロース計画、始動!


「じゃあ、まゆちゃんは みかちゃんが嘘だって言ったから
『サンタさんはいない』って言ってるのね。
 ちょっとみかちゃんに替わって。」
電話中のゆう子の声のトーンがまた上がった。
12月最初の日曜日、僕は彼女の部屋で、彼女ご自慢の煮込みハンバーグを平らげて食後の一服を楽しんでいた。
そこに電話がかかってきたのだ。
相手は彼女のお姉さん。
いつものように途中で姪っ子のまゆみちゃんに替わったようだった。

最初は大抵の大人が小1の子供に話す時と同じやさしい口調で話していた。
が、「まゆちゃんは 今年サンタさんに何をお願いするのかな?」のセリフの後から
声のトーンが少しづつ変わっていくのが聞いている僕にもわかった。
どうやらまゆみちゃんのお姉さんのみかちゃんが、サンタの正体を教えたらしい。

「あ、みかちゃん!何で・・・・・それは・・・いい子にしてなきゃ来ないからよ。
だって、あたし サンタさんに会ったことあるもの。みかちゃん起きてて自分で確かめたことないでしょ?
・・・・・そうだよ、そうしなきゃ。サンタさんはちゃんと来てるんだから。」

んっ?
でも、みかちゃん達が本当に朝まで起きていたとしたら、それこそお父さんと御対面。
嫌が応にも真実を知ることになるんじゃあないのか?
僕は少しだけ嫌な予感がしていた。

「じゃあ絶対だからね! 約束だよ〜! おやすみなさ〜い!」
電話を切った次の瞬間、
「よしく〜ん、一生のお願い!」
きた〜!
「それはぼくに イブの真夜中にサンタの格好をしてお姉さんの家に行ってほしいってこと?」
「さすが!以心伝心!!」
そりゃ、つきあってもう5年になるんだ、彼女の考えそうな事くらい大体わかるさ。
「しょうがないな〜。」
「わ〜い、やった〜!」
「でも、まゆみちゃんはともかく、みかちゃんはもう4年生なんだろ?
 そんなので信じたりしないんじゃないか?」
「大丈夫!あたしの演出で超リアルサンタにしてみせるから!」

こうして僕らのサンタクロース計画が始まった!

 
 
2.へつづく >>>