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  Garden #4 おばあちゃんの庭


君の庭がどんな庭かを あらためて考えてみるよ。

テーブルとイスとパラソル。 これは買いにいけば手に入る。
スカビオサやニゲラ、ブーゲンビレア…って、どんな花?
くだもののなる木がたくさん…… どのくだものだろう?
あこがれのおばあちゃんの庭にも それらが植えられていたの?

君が残していった庭の本。
本棚にずらりと並ぶそれは、出番を待ちくたびれて うすくほこりをかぶってる。

いつかは終わることがわかっているのに、人はなぜ庭をつくるのだろう。
そこには本当に、この世にたったひとつの永遠が隠されているのかもしれないね。
君はそれを知っていたのかな?
そのことに気づけば、ぼくは君をむかえにゆける、
そう信じてぼくは、一人で庭をつくるしか術がないんだ。


すがるようにページを開いた、その時!
一枚の花びらが、ひらりと身をひるがえして ぼくの足元に落ちた。
花びらと見まごう それは白く陽にやけた一枚の写真。

     !

そこには 白い帽子をかぶった少女が
眩しげに目を細めて立っていた。

瞬間、ぼくは全てをさとった。
これは おばあちゃんの庭。
これは 少女時代の君。

           ◇

そこに写る庭は、君の理想とは 似ても似つかない盆栽の庭だった。
 
 
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